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最近買った充電器のはなし

この記事は、マイクロマウス Advent Calendar 2022の15日目の記事です。
昨日の記事は、PIDream.netさんの「タイル式マイクロマウス迷路用ベースの小ネタ」でした。この、アールティ社から販売されているタイル式迷路板、中部で購入された方に見せて頂きましたが、軽くてとても良いですね。遠征にも持って行けますし。複数枚を合体させても板同士が固定されないのが気になってましたので、この小ネタは非常に有効だと思います。しかし、これを16枚も買われたんですか!? これって確か、お値段が1枚1マン……。

1.はじめに
最近のマイクロマウスは、そのエネルギー源として、リチウムポリマー(LiPo)バッテリを使用しているものが殆どです。このLiPoバッテリは、身近な電子機器に内蔵されたり、ホビー用も簡単に入手出来るようになりましたが、本来は注意して取り扱う必要のある危険物です。端子のショート(短絡)や過充電は、発火の恐れもありますので、皆さん注意して使いましょう(…と、お約束なことは一応書いておきます)。

2.充電器いろいろ
ところで、そんなLiPoバッテリの充電には、充電電圧や電流を管理してくれる、専用の充電器が必要です。初めの頃は、充電状態の表示に数個のLEDしかないLiPo専用充電器でしたが、しばらくすると、LiPo以外にもニッカドやニッケル水素等の充電にも対応し、16文字×2行の文字表示が出来る液晶を搭載して充電状態を表示するようにした充電器が、色々なメーカーから販売されるようになりました。私もこのタイプの充電器は3種類ほど購入しまして、そのうちの1種類は、現在も使用しています。
そして、最近の充電器は更に進化して、サイズは手のひらサイズになり、液晶も2~3インチ位のグラフィック液晶が搭載されるようになり、充放電時の電圧や電流、セル電圧等が1画面で見易表示されるようになり、とても便利になりました。

Dsc_1567s私が現在使用している充電器の一覧です。簡単に紹介しておくと、左上は、imaxRCという、もう存在しない中華メーカーのX180DCです。確か2009年ぐらいに買ったもので、他にはないタッチパネル式のグラフィック液晶を搭載しています。操作はタッチパネルで行い、充電中の電圧や電流をグラフで表示したりと、UIは良いのですが、電圧や電流検出の精度がイマイチなのか、主に使用していた充電器で充電したものよりも充電完了時の電圧が低い(満充電されていない)ということが判明したため、購入したものの殆ど使用しませんでした。
右上は、MULTIPLEX(日本だとHiTEC が販売していた)の「LN-6015 EQU」、
左下は、最近はAmazonでも売っているISDTという会社の「Q6 Plus」、
下段中央は、今年買った充電器その1、Amazonで購入したISDTの「Q6 Nano」、
右下は、今年買った充電器その2、PowersというRCパーツ会社が販売している「PJ610
です。この4つについて、詳しく紹介してみようと思います。

3.昔買った充電器のはなし
Dsc_1568s [MULTIPLEX LN-6015 EQU]
対応LiPo:1S~6S
充電電流:0.1~6A(max 70W) この範囲内を50mA単位で設定可能

2007年に購入し、現在も家で使用中です。ホビー用の充電器としてよく見る、キャラクタ表示の液晶搭載で4つボタン式UIのものです。4つボタン式のバランサー内蔵タイプとしては最初期の製品だったと思います。現在も同じようなタイプの充電器が各種売られているようなので、このタイプを使っていらっしゃる方も多いんじゃないでしょうか。
4つのボタンで動作を決定するので、操作はし易いです。大きさは10cm×15cm位、重さは300g程度で、購入した当時は気になりませんでしたが、現在となっては大会遠征で持ち運ぶには少し大きめ(重め)です。但し、バランサーを内蔵していて、且つ充放電の電流を50mA単位で設定出来るため、小容量のLiPoバッテリにも対応することが可能なところがポイントです。電圧精度も良く、使い勝手も良好ですが、残念ながら、この充電器は大分昔に販売終了しています。

Dsc_1571s1 [ISDT Q6 Plus]
対応LiPo:1S~6S
充電電流:0.1~14A(max 300W) この範囲内を100mA単位で設定可能

手のひらサイズで大きな液晶画面が付いた充電器が売り出されるようになり、その系統の2世代目の製品だと思います。2017年に購入し、数回使ったところ良好だったので追加でもう1台購入し、現在も大会や例会等で持ち運ぶ際に使用しています。
ジョグダイヤルを回すことでメニューを選択して、ダイヤルを押し込むと決定…という、PCマウスのホイールのような操作感です。ただ、決定ボタンのみでキャンセルボタンがないので、動作モードを切り替えたり充電を強制停止させたりするときの操作が少々面倒ですが、使っているうちに慣れてしまい、それほど気になりません。
電圧や電流の検出精度は、以前から使っていたLN-6015と比較しても悪くない感じです。
LiPo1セルの充電から対応していますが、充電電流は100mA単位でしか設定出来ません。クラシックマウスで使う100mAh以上のLiPoには良いですが、ハーフマウスで上位の方々が使うような50mAhや70mAhといった小容量のLiPoには、充電電流が最低でも100mAなので、1C充電の電流設定が出来ないところが欠点です。お気に入りの1台ですが、残念ながら販売終了してしまいました。

Dsc_1582s なお、大会への遠征時は、このQ6 Plusを2台と、ACアダプタやケーブル類をひとまとめにしてプラスチックケース(MEIHOのジミーケースLL)に入れ、持ち運んでいます。このセットで500g少々なので、マウスと一緒に鞄に入れてもそれほど苦にはなりませんが、最近は大会会場で2台を同時に使うことは殆どなく、2台使うのは大会前夜にバッテリをリフレッシュさせるために、一定容量まで放電させた後に満充電を行うときぐらいです。昔より体力も落ちてしまいましたし、大会会場に持って行くのは、更に小型なものを1台だけでも良いかな…と考えるようになりました。

 

 

 

4.最近買った充電器のはなし
ということで今回の記事のメイン、最近買った充電器のはなしです。

Dsc_1544s [ISDT Q6 Nano]
対応LiPo:1S~6S
充電電流:0.1~8A(max 200W) この範囲内を100mA単位で設定可能

今年買った充電器その1、ISDTのQ6 Nanoです。ISDTというメーカーは、昔はRCショップでしか買えなかったと思いますが、最近はAmazonで簡単に買えるようになりました。Amazonのコメント欄では、ボタンの操作性がイマイチと書かれていますが、Q6 Plusより小型化されているので持ち運び用に良いかと思い、試しに買ってみました。安かったし(\4,999で\600offのクーポンあり。一時は\3,990で売ってるときもあった)。

四角いボタンの上側を押すと上、下側を押すと下、中央付近を押すと決定となっていまして、上下の移動は良くても、確かに決定の押し下げは失敗し易く、意図しない上下移動となってしまうことが多々ありました。何度も触っていると慣れてきますが、気の短い人には不向きかもしれません。

あと、気になった点としては、画面がQ6 Plusの2.4inchiよりも一回り小さい1.5inchなので、表示される文字も小さく、見づらいところでしょうか。メニューは日本語表記出来ますが、ちょっと表記が変なところもあります。あ、「Lowest Input Voltage」を「最大入力電圧」と表記しているのは、「最小入力電圧」の間違いでしょうね。

あ、ISDTの充電器の良いところの1つは、画面保護用のフィルムが付いてくるところです。液晶表示部分だけでなく、ちゃんと操作部分をくりぬいて、充電器表面を完全にカバーする専用フィルムで、持ち運んだときに画面に傷が付いて見難くなる心配がありません。予備がないのが残念ですが、まあ、その時は汎用フィルムをカットして貼るしかないでしょうね。

それから、充電器本体への電源入力とバッテリ接続コネクタは、最近ラジコンでよく使われているXT60コネクタが使用されています。バランス端子接続用コネクタは、LiPoバッテリのバランス端子で一般的に使われているJSTのXHです。充電器だけ購入しても、これらの接続コネクタは付属していませんので、充電器と一緒に購入しましょう。

Dsc_1569s 私の場合は、こんな接続コネクタを自作して使っています。
XT60コネクタの抜き差しには結構な力が必要なので、あまり細いワイヤーを使うとちぎれてしまう可能性があるので、工夫が必要です。

 

Dsc_1573s 電源側は、こんな感じです。
以前は、秋月のACアダプタを電源として使用していたのですが、最近は、USB-C PDトリガーデバイスを使用して、USB-Cから15Vを取り出し、充電器の電源としています。



Dsc_1572s USB-C PDトリガーデバイスの一例です。私はシリコンハウス共立(共立エレショップ)で通販しました。因みに、このデバイスは、基板上のジャンパで出力電圧が変更出来るので、12V品を買ってダメだった場合でも、ハンダでジャンパされている位置を変更すれば、15V出力に変身させることが出来ます。他社のもの同様かもしれませんが、私はコレしか触ったことありません。

 

 

 

 

勿論、普通のACアダプタを使用しても大丈夫です。
Dsc_1577s 左がDsc_1578s秋月のACアダプタ(15V 1.6A)、右が秋月のACアダプタ(12V 1A)です。3セルのLiPoを使うなら、満充電の電圧が12.6Vなので、12Vではなく15Vにしましょう。2セルのLiPoなら、12Vでも大丈夫です。
電流値は、充電電流を500mA程度まで使用するなら、1A程度の出力可能なものを使用するのが良いでしょう(ACアダプタは、最大電流の50%程度で使った方が安全です)。
左の15VのACアダプタが1.6A出力可能なものを使っていた理由は、これ1つで2台の充電器に電源供給していたからです。

 

Dsc_1575s Dsc_1576s また、秋月のACアダプタを使うなら、XT60コネクタにDCジャックを直接付けたものを作るのも、コンパクトで良いかもしれません。


 

 

なお、USB-C PDトリガーデバイスを使えば、充電器専用のACアダプタを持って行かなくても、スマホ用やPC用のUSB-C ACアダプタが使えるので大会遠征時の荷物が減らせる可能性があります。しかし、複数のUSB-Cポートが搭載されているタイプのACアダプタを使った場合、ポートに接続する機器を増やしたり、複数接続していたものの1つを外したりしたときに、電圧出力が一瞬途切れたりする可能性があり、その場合には、そこで充電器がリセット(再起動)されてしまう恐れがあります。注意しましょう。

Dsc_1574s また、PDトリガーデバイスは色々な電圧のものが売っていますが、使用するアダプタが対応していない電圧は、接続しても出力されませんので、注意が必要です。
アダプタの底面に出力可能な電圧一覧が書いてありますが、例えば左のようなもの(ANKER NanoII 65W)に12V出力のPDトリガーデバイスを繋いでも、全く電圧出力されませんでした。PDトリガーデバイスの種類によるのかもしれませんが、ご注意ください。



 

 


少々脱線してしまいましたが、続いて今年買った充電器その2へ行きます。

Dsc_1570s [Powers PJ610]
対応LiPo:1S~6S
充電電流:0.1~10A(max 200W) この範囲内を100mA単位で設定可能

先に買ってみたQ6 Nanoの操作性がイマイチなので、知り合いの方に薦める充電器として何か良いものは無いかと探したところ、Q6 Plusと同じようなジョグダイヤル式のUIで、値段も手頃(\7,000程度)だったので、試しに買ってみました。最近U宮さんが購入されたToolkitRCというメーカーの充電器も気になったんですが、ちょうど在庫切れでしたし。

Dsc_1571s 表示やメニューは、Q6 Plusと似てるようで多少違ってはいますが、操作感は一緒です。





Dsc_1581s なお、このPJ610は表示面が傾斜しているので、Q6 Nanoよりも高さ方向に厚く、ケースへの収容性があまり良くないかもしれません。でも、電源やバッテリへの接続コネクタ、バランス端子用コネクタはQ6 Nanoと同じです。この辺りは、最近の充電器は大体同じでしょうか。

 

実は、まだ買ったばかりで使い込んでいないため、電圧精度とかは良くわかりません。恐らく、ISDTのものと同程度かなと思いますが、何か問題点等が判明したときは、ツイートするか、ここで報告することにします。

以上紹介しました手のひらサイズ液晶付きの充電器は、充電電流が100mA単位でしか設定出来ないものが多く、小容量のLiPoバッテリを使う場合は注意が必要です。また、比較的安い充電器の中には、充電電流の設定が1A単位というのもありますので、購入を決める前によく確認した方が良いでしょう。あと、AC内蔵の4つボタン式充電器の中には、2セルからしか対応していない製品(これとか)もありますので、こちらも注意が必要です。

5.おわりに
充電器のことは、マウスやっている皆さんなら色々手を出して、詳しい人ばかりだろうと思っていたのですが、Discordのマイクロマウス合宿2022の技術相談で質問があり、あちらでは話に乗り遅れてしまったので、Advent Calendarのネタとして取り上げてみました。海外メーカー製の充電器は、ライフサイクルが短いものが多く、少しでも参考になれば幸いです。

さて、明日は、SHIMOTORI,Harukiさんの「トレーサの紹介と団体賞をいただけた話」です。私も今年の学生大会に行きましたが、審査員としてマイクロマウス競技にずっと張り付いていたので、トレース競技を生で見ることは出来ませんでした。記事を楽しみにしています。

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